光の質感でブランドイメージを自在に操る

Artistic close-up of a camera lens held outdoors with creative light flare effects.

この記事をお読みいただくことで、レンズの仕様やコーティングの違いが動画の印象に与える影響が分かり、自社のブランドイメージに合った空気感を意図通りに表現するための発注・打ち合わせの視点が身につきます。

先日、焦点工房からライカMマウント用の「DK-Optic CHIARO 75mm f/1.9」という中望遠レンズが発売され、ブルーコーティングを施したモデルと、あえてコーティングを施さないノンコーティングモデルの2種類が用意されたことが話題となりました。同じ構造のレンズでありながら、表面のコーティングによって得られる描写が全く異なるためです。実は、こうしたレンズによる光の扱い方の違いは、企業のブランド動画やPR動画の質感を大きく左右する重要な要素となっています。

レンズのコーティングが決定づける動画の空気感

レンズの表面に施されるコーティングとは、光の不要な反射を抑え、レンズ内部で光が乱反射するのを防ぐための極薄の膜のことです。現代の多くのレンズには高度な多層コーティング(マルチコーティング)が施されており、逆光の環境でもくっきりと鮮明で、黒がキュッと締まった高コントラストな画面を作り出すことができます。

一方で、あえてコーティングを抑えたレンズやノンコーティングのレンズを使用すると、強い光が入った際に画面全体が白っぽく柔らかくなる「フレア」や、光の輪が現れる「ゴースト」と呼ばれる現象が起こりやすくなります。一見すると撮影上の欠点のように思えるこの現象ですが、演出として取り入れることで、動画に特有の温もりやノスタルジックな空気感、情緒的な深みを与えることができます。

動画制作の現場において、機材選びは単に「綺麗に映すか」どうかだけではありません。その企業の理念や商品の持つストーリーに最もふさわしい光の質感を作り出すために、どのような特性を持ったレンズを選ぶかがクリエイターの手腕の見せどころとなります。

クリアな信頼感か、温もりのあるストーリー性か

レンズの光学的特性による写りの違いは、企業動画の目的に合わせて明確に使い分けることができます。

たとえば、最新テクノロジーを訴求するIT企業や、精密機器メーカーの製品紹介、あるいは企業の信頼性を前面に出すIR動画などでは、反射を徹底的に抑えた現代的なレンズが威力を発揮します。色再現が正確で、画面の隅々までシャープに写し出すクリアな質感は、視聴者に先進性、正確性、そして揺るぎない信頼感という印象を直感的に植えつけることができるからです。

一方で、創業の歴史を語るドキュメンタリーや、職人の手仕事を伝えるブランドムービー、あるいは親しみやすさを重視する採用動画などでは、あえて光を柔らかく回す表現が効果的です。太陽光や照明の光を優しく抱き込むような描写は、画面の中に人の温もりやドラマチックな余韻を生み出し、見る人の感情を揺さぶります。

制作会社へ希望の質感を過不足なく伝えるコツ

企業の担当者様が動画制作を発注される際、特定のレンズ名や技術的な専門用語を覚える必要はありません。「このようなコーティングのレンズを使ってほしい」と指定するよりも、どのような質感でブランドの魅力を表現したいかを制作会社と共有することが大切です。

具体的な打ち合わせの場では、「先進的でシャープな信頼感を出したい」のか、「温かみがあり、ストーリーを感じさせる柔らかい雰囲気にしたい」のかといった、視聴者に与えたい印象やトーン&マナーを言語化して伝えるのが効果的です。

もしイメージに近い参考動画がある場合は、登場人物の背景にある光の当たり方や、画面全体の明暗のコントラストに着目して「この動画のような光の柔らかさが欲しい」と伝えてみてください。熟練した制作スタッフであれば、その一言から最適なレンズ選定や照明設計を組み立て、思い描いた以上の質感を実現してくれます。

動画のクオリティは、単なる解像度の高さだけでなく、光をどのように捉えて表現するかという細部の設計で決まります。自社の魅力を最も引き立てる質感や演出についてお悩みでしたら、企画段階からぜひお気軽にご相談ください。

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