狭いオフィスでも開放感を演出する撮影配置

A dental checkup is recorded using a smartphone in a modern clinic setting.

この記事をお読みいただくことで、会議室やオフィスの限られたスペースでも圧迫感を与えず、空間の広がりと上質な雰囲気を両立させる動画の撮影ノウハウが身につきます。

最近、タムロンの20-40mm F/2.8 Di III VXDにニコンZマウント用が追加されるなど、広角域をカバーする軽量で大口径なズームレンズの選択肢が増え、動画制作の現場でも注目を集めています。今回は、企業の動画制作で最も機会の多いオフィス内での撮影を例に、レンズの画角選びと機動性が仕上がりに与える影響について解説します。

オフィスの会議室撮影で直面する空間と距離の壁

社内インタビューや働くスタッフの様子を動画で撮影する際、最も頻繁に選ばれるロケーションが社内の会議室や応接スペースです。しかし、一般的なオフィスの会議室は奥行きが限られており、カメラと被写体(撮影される人物)との距離を十分に確保できないケースが少なくありません。

カメラと人物の距離が近いと、画角(カメラが写せる画面の範囲)が狭くなり、画面全体に圧迫感が生まれてしまいます。また、引きの画が撮れないために背景に余計な書類や壁が大きく写り込み、企業のブランドイメージにそぐわない雑多な印象を与えてしまうこともあります。

従来の動画撮影では、画質の高さを優先して単焦点レンズ(焦点を変更できないレンズ)を複数本持ち込み、カットごとに付け替える手法がよく使われていました。しかし、限られた撮影時間の中でレンズ交換を繰り返すと、被写体となる社員の緊張が途切れてしまったり、撮影スケジュールが押してしまうリスクが高まります。そのため、狭い空間でも背景の広がりを表現でき、かつスピーディーに画角を変えられる機材の選定が重要になります。

超広角20mmから40mmという画角がもたらす演出力

ここで鍵となるのが、広角から標準域までをカバーするレンズの活用です。一般的なズームレンズは24mmから始まることが多いのですが、20mmというわずか4mmの差が、狭い室内撮影では大きな違いを生みます。

20mmという超広角(一般的なレンズよりも広い範囲を写せる画角)を使用すると、壁際にカメラを追い込んで配置した場合でも、部屋の全貌やデスク周りの環境を余裕を持って画面に収めることができます。画面の端に奥行きを持たせる構図を作ることで、狭い会議室であっても開放感のあるオフィス空間のように見せることが可能になります。

さらに、F2.8といった明るいレンズ(光を多く取り込めるため背景を大きくぼかせるレンズ)を使用することで、背景に写るオフィス機器や壁の質感を程よくぼかすことができます。これにより、企業のリアルな雰囲気を残しつつも、視聴者の視線を主役である人物へ自然に集める演出が叶います。

そして、寄りのカットを撮りたい場面では、レンズを交換することなく40mm程度の画角へスムーズにズームインします。40mmは人の視野に近く歪みが少ないため、人物の自然な表情やインタビューのテロップを入れるスペースをきれいに収めることができます。一本のレンズで引きの空間カットから寄りの人物カットまで完結できる機材構成は、現場のタイムロスを最小限に抑える強力な選択肢となります。

狭い部屋を広く見せる具体的な撮影配置ノウハウ

実際の撮影現場で、会議室を広く見せつつ上質な動画を作るためには、機材のスペックだけでなく配置の手順が重要です。

まず、被写体となる人物を背後の壁際ぴったりに座らせるのではなく、壁から少なくとも1.5メートルから2メートルほど離した位置に配置します。被写体と背景の距離を開けることで、広角レンズの特性である奥行き感が強調され、画面全体に立体感が生まれます。

次に、カメラの配置です。カメラを人物の真正面に置くのではなく、わずかに斜め30度ほどの角度をつけることで、背景に奥行きのあるラインが生まれ、部屋の狭さを感じさせない空間演出ができます。このとき、20mmから28mm付近の画角を使って人物と周囲のオフィス環境をバランスよく収めると、企業のプロフェッショナルな空気感が自然と伝わります。

こうした機材と配置のノウハウを理解している制作会社は、現場の制約に柔軟に対応し、無駄な時間をかけずに質の高い映像を収めることができます。動画制作を依頼する際には、こうした現場での対応力や空間の活かし方に着目してみるのも、信頼できるパートナーを見極める一つの基準になります。

企業の動画制作では、撮影場所の広さや時間の制限といった課題がつきものですが、適切な機材選定と撮影配置を知ることで、どのような環境でも魅力的な動画に仕上がります。オフィスの雰囲気を伝える動画制作やロケーション撮影でお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

動画制作会社の選び方、実践ガイドを無料公開中

発注してから後悔しないために、知っておきたい7つのこと。現場30年以上のプロが、費用の裏側や失敗しない会社選びの基準を包み隠さずお伝えします。